午後4時、保育園に孫・春ちゃんを迎えに行きました。
園児たちは保育園の玄関入り口で、お迎えを待っていました。
私が玄関に入ると、“春ちゃん”と仲良しの“しおんちゃん”が、両手を挙げて私に近づいてきて、抱っこをして欲しいというのです。
小太りで体格も大き目の“しおんちゃん”を抱っこしてあげると、……
以外や以外、“春ちゃん”と同じくらいの重さだったのです。
最近、“春ちゃん”は、抱っこするごとに重くなって、ずっしり感さえ感じていたのですが、……春ちゃんより一回り大きい“しおんちゃん”を抱っこしてみると、二人の重さはそれほど違いはなかったのです。
私が“しおんちゃん”と“春ちゃん”を代わりばんこに抱っこしてあげていると、……保育士さんが声をかけてくれました。
“しおんちゃん”と“春ちゃん”の体重の差はほんの僅か、……“しおんちゃん”がやや重いんですよ。
“しおんちゃん”はミルク育ち、“春ちゃん”は母乳育ち、……その違いですかね〜?
保育士さんとそんな話をしていると、……私の脳裏に、かって、小学校に勤務した当時の昔の実践が蘇ってきました。
4年生の恭平君は、何かとても嬉しいことがあったらしいのです。
保健室から跳びだしてきた恭平君はニコニコ顔で、私に話しかけてきました。
「校長先生!ぼく、身長が一番ビリでなくなりました!」というのです。
恭平君の話に「うん、うん。」と頷いて聞いていると、「ぼくは132センチ、正輝君が131.9センチ、……とうとう、ぼくは身長がビリではなくなったのです!」と、とてもご機嫌なのです。
そういえば、恭平君と正輝君は、4年生の男子の中では慎重が低く、身長の伸びを互いに競い合っているライバルだったのです。
「そうか!そうすると、正輝君とは1ミリの差だね。鉄棒にもぶら下がって、好き嫌いなくたくさん食べて、運動もしっかりやって、身長をもっと伸ばそうネ!」と応じると、……恭平君はニコニコ顔を大きく膨らませて、「はい!」と頷いて教室に引き返していきました。
僅か1ミリの差で広がる笑顔“いい顔”、……子どもの心は実に素直で純粋です。
しかし、よく考えてみると、当時の学校の身長計は目測で測る古い体重計だったのです。
目測での1ミリの差、……この差は大変微妙です。
足のかかとの置き方や顎の引き方、背筋の伸ばし方等により、その差は容易に逆転してしまう数字です。測定者の目に左右されることもあります。
私は、かって、学級担任をしていた時に、この差を利用して、背の低い子どもに笑顔を与えたり、やる気を引き出したりしたことを思い出しました。
……とすると、恭平君の担任の先生も、今回の測定にあたって、“身長のライバルである二人の笑顔や意欲を引き出す『教育的操作』が働いたのかな?”等と、私自身の過去の実践を振り返って、穿った見方もしてみるのです。
最近、学校で使用する身長形や体重計は、測定値が数字で明示されるデジタル計に変わりつつあります。
デジタル計では、教師の教育的操作は出来にくいものです。
そして、恭平君の笑顔“いい顔”は生まれなかったかもしれないのです。
そう考えると、学校の身長計や体重計は、古くはなったのですが、古いなりの“よさ”も見えてくるのです。
変化の激しい社会の中で、私たちは、ややもすると、新しいものに目が向きがちです。
もっと、現有の計器を見直し活用して、教師の温かみのある教育的操作を通して、子どものやる気を伸張させたいとの想いが広がるのです。
こうした教師のさりげない指導の中に、子どもの笑顔と意欲を生み出す源泉があるように思うのです。
恭平君の笑顔“いい顔”は、改めて、教育界で問われている『不易と流行』について問い直させてくれるのです。
と、同時に、今、日々の生活の中で注目されている“ファジーな物の見方・考え方”を教育実践の中でも大事にしていく必要性を教えてくれるのです。
そんな昔の実践を思い出しながら、“しおんちゃん”と“春ちゃん”
が仲良く互いに競い合って、逞しく大きく成長して欲しいとの想いが膨らむのです。
2009年10月30日
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