95歳の母が通うデイサービスの介護施設長から、同施設見学の案内状が届きました。
併せて、「入所者の一日の過ごし方を見てください。」との案内状です。
案内状を見ながら、……かって、教職に合った時、子どもたちを引率して、同様の施設を何回か訪問したことを思い出しました。
ご高齢の施設入所者と子どもたちとの交流会では、学ぶことがたくさんありました。
子どもたちの演奏する歌や合奏を聞きながら、……不自由な耳に手を添えて、じっと聴き入り涙ぐむお年寄りの姿が瞼に浮かびます。
その姿を見ながら、……私は、お年寄り一人ひとりのこれまでに至る人生の足跡に想いを馳せたものです。
子どもたちの演奏が終わると、子どもたちとお年寄りがグループに分かれての交流会です。
その時の想いを綴った作文が、今でも私の宝物として、本棚に並んでいます。
当時、6年生だった大輔君は、次のように綴っています。
ぼくと崇君は、見た目からして少し嫌な人と相手をすることになりました。
ぼくが、「おじいちゃん、どんな遊びをしますか?」と聞いても、怒ったような顔をして訳の分からないことを言うのです。
さらに、「お手玉でもやってみませんか!」と言って、お手玉を渡しても、両手の手のひらにおいて交互に動かすだけで、投げ上げようとはしないのです。
ぼくと崇君は「困ったなぁ!」と言い合いました。
「おじいちゃん、折り紙でも紙飛行機でも作りませんか?」、「あやとりでもしましょう。」と言っても、怒ったような顔をして、「できねぃや!」と言うのです。
ぼくたちには、手に負えませんでした。
ぼくたちが困っていると、指導員の方が来て、「とらぞうさん、私が鶴の折り方を教えるから一緒に折りましょう。」と、仲間に入ってくださいました。
しかし、おじいちゃんは、「できねーからいいや!」と言って、折り紙を折ろうとしないのです。
そんなことを繰り返しているうちに、帰る時間になってしまいました。
ぼくたちは、「やっと、終わった!」と言い合いました。
そして、最後の握手です。
ぼくたちは、大変不安でした。
それは、おじいちゃんが握手をしてくれるかどうかです。
不安が広がるうちに、ぼくが手を差し伸べると、おじいちゃんの方から手を出してくれて、「ありがとや!」と言ってくれました。
ぼくは、この人は、「見た目だけじゃないんだな。」ということが分かりました。
ぼくは、とてもいい経験をしました。
私も、子どもたちと一緒に施設を訪問した際、……いつも、尺八持参で寄せていただき、「北国の春」・「浜地鳥」・「ふるさと」などの曲を吹いて聴いていただきました。
その時、私の尺八の演奏に合わせて歌ってくださったお年寄りの歌声が、今でも心に焼き付いています。
今回、母が通うデイサービス施設に寄せていただく時も、「尺八持参で行こうかな!」、……。
昨日からの降り続いていた“しとしと雨”は一休み、午後からは青空が広がりました。
静かな秋の佇まいの中で、久しぶりに尺八の音出しをしています。
2009年10月27日
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